【岩手広告賞 2冠】地方の学校に、どうすればファンは生まれるのか。千厩高校PV「ここが僕らの場所」制作背景
広告主|岩手県立千厩高等学校
作品名|ここが僕らの場所 篇
種別|Web 広告 / オリジナル主題歌
受賞|第57回 岩手広告賞 ウェブ広告の部
私は「地方の学校・企業にファンをつくる映像戦略家」と名乗っています。
それは、映像をつくって終わるのではなく、その先で応援される理由まで設計したいからです。
今回の千厩高校PV「ここが僕らの場所」も、学校紹介動画を一本つくる仕事ではありませんでした。
目指したのは、進学先を比較するための情報を増やすことではなく、「ここなら自分の歩幅で進めそうだ」と感じてもらう入口をつくることでした。学校側のnoteでも、この映像は学校の空気感や生徒たちの表情がそのまま伝わる、感情豊かな作品として紹介していただいています。
https://sen-hs.note.jp/n/n52e0b72d4175?sub_rt=share_pw


地方の学校にファンを呼び込むとは
地方の学校が広報で勝つために必要なのは、情報量だけではないと私は思っています。
偏差値、設備、進路実績。もちろん大切です。けれど、それだけでは比較で終わってしまう。
ファンが生まれるのは、
「この学校にはどんな空気が流れているのか」
「ここで過ごす3年間は、どんな温度を持っているのか」
が、言葉より先に伝わったときです。
私はギャルドブレインで「ファンを創るモノづくり」を掲げています。表面的な美しさだけでなく、まだ知られていない努力や情熱まで含めて“愛される物語”に変えること。それが、地方の学校や企業に本当に必要な広報だと考えています。
なぜ千厩高校では、この内容にしたのか
企画資料をつくる中で見えてきたのは、千厩高校は普通科・生産技術科・産業技術科という3つの学科が、ただ並んでいる学校ではないということでした。
それぞれが別の道を進んでいるようでいて、実はゆるやかにつながっている。
企画の核に置いたコンセプトは、
「シームレスに繋がる学び、『ちょうどいい』が心地よい」。
タグラインは、
「背伸びはしない。けれど毎日少しずつ。」
です。
私はこの学校の魅力を、誰かに無理に合わせて大きく見せることではなく、一人ひとりがそれぞれの歩幅で半歩ずつ前へ進めることにあると考えました。企画資料でも、見る人すべてが「ここなら成長できそうだ」と思えるような、等身大で心地よい物語を目指しています。学校側のnoteでも、千厩高校には“心地よい空気”が流れており、その背景には校長先生の明確なビジョンがあると書いていただきました。
熊谷校長とは、私の母校杜陵高校のPVを撮影した際に出会いました。
熊谷校長は、なんと言っても愛に溢れる情熱を持った方です。
その想いがなければこの映像は生まれませんでした。ほんとうに大好きな先生です。


映像戦略家として、なぜこの構成にしたのか
もし3学科の特色をそのまま並べれば、情報としては正しくても、映像としてはパンフレットの延長に近づいてしまいます。
そこで今回は、学科名より先に、行為と感触を見せる構成にしました。
座学の眼差し。

花に触れる手。

ミリ単位の息遣い。

教室の斜光。

温室の逆光。

実習室の木漏れ日。

普通科・生産技術科・産業技術科を、説明で区切るのではなく、一本の成長線として接続しています。情報を見せるのではなく、身体感覚として記憶に残すための設計です。
主役も脇役も、表も裏も、誰か一人ではなく、みんなで一日をつくっていく。私はこの感覚を、映像全体のトーンにも、音楽にも反映させました。
撮影風景で大切にしたこと
撮影で大切にしたのは、うまく見せることより、ほんとうにそこに流れている温度を壊さないことでした。









学校側のnoteにもある通り、今回撮影できた場面や部活動は限られていました。それでも、撮れたものは全部入れたいと思った。編集で何度も尺を調整した結果、完成版は5分30秒になりました。そこに込めたかったのは、盛った学校像ではなく、できるだけ自然で飾り気のない、ありのままの姿です。
私は、説明される魅力より、にじみ出る魅力の方がファンを生むと思っています。
だからこそ、笑顔をつくり込むより、ふと笑った瞬間を待つ。
演出で塗りつぶすより、その学校の空気が立ち上がる瞬間を待つ。
この作品は、そういう“待つ撮影”の積み重ねでできています。
オリジナル曲をつくった理由
今回、音楽は後から添えるBGMではなく、映像の核として考えました。
学校側のnoteでは、既存の曲ではどうしても他校と重複する可能性があり、また、私が感じた千厩高校の魅力を100%表現できる曲が見つからなかったと書いています。そこで今回は、オリジナル曲を作詞・作曲し、歌も収録しました。歌詞には熊谷道仁校長の想いを込めました。
主題歌フル(YouTube)
私自身のbehind the scenes noteでも、最近はまず曲をつくり、その曲を軸に映像を組み立てることが増えていると書きました。
映像にとって音楽は飾りではなく、その場所の記憶を持ち帰ってもらうための器だと思っているからです。
https://note.com/hisaton/n/n9a14cb21b3c2
そして公開後、映像のために作ったオリジナル楽曲が、その後テーマソングとして育っていきました。
私はここに、映像戦略の本当の価値があると思っています。
映像のための曲で終わるのではなく、その学校を思い出す曲として生き続けること。
それは、映像が“広報素材”を超えて、学校の物語の一部になったということだからです。
少し立ち止まりそうな時、ふと思い出して口ずさむ曲になってくれると嬉しい。
(私はふとした時に口ずさんじゃってます。自分で創った曲ってやっぱり一番すきなのかも)
実際の効果について
公開情報として確実に言えるのは、この作品が第57回 岩手広告賞 ウェブ広告の部の受賞作となり、公開後、オリジナル曲は校内外で少しずつ浸透し、野球応援の場などでも自然と口ずさまれるようになりました。映像のために生まれた音楽が、学校の歌として育ちはじめたことに、この仕事の本当の価値を感じています
広告賞を受賞できたことももちろん光栄ですが、ここで大切にしたいのは、効果を「再生回数」という数字だけで語らないことです。
地方の学校の映像にとって、本当に意味のある効果は、
学校の空気がちゃんと伝わったか
学校の中の人たちの誇りになったか
次の誰かの一歩を後押しできたか
にあります。
伝えたいこと
今回改めて感じたのは、地方の学校の魅力は、派手さの中ではなく、日々の積み重ねの中に宿るということでした。
そして、それを伝えるには、情報を並べるのではなく、
学校固有の温度
人の歩幅
その場所でしか生まれない音
まで含めて設計する必要がある。
映像戦略家として私がやっているのは、きれいな映像をつくることだけではありません。
その場所が未来の誰かにとって「気になる存在」になり、やがて「応援したい存在」になるところまで考えることです。
地方の学校や企業にこそ、まだ言葉になっていない魅力がたくさんあります。
それを見つけ、物語にし、ファンへ変えていく。
それが、私の仕事です。
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この度、第57回 岩手広告賞 ウェブ広告の部にて2冠を受賞いたしました。
受賞作品の1つである「盛岡白百合学園」様のウェブ広告につきまして、制作背景を公開しております。
ぜひご一読ください。
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地方の学校・企業の魅力を、説明ではなく応援される物語に変えたい方へ。
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参考・引用URL
千厩高校 note
https://sen-hs.note.jp/n/n52e0b72d4175
中坪久人 note(behind the scenes #05 岩手県立千厩高等学校 PV撮影)
https://note.com/hisaton/n/n9a14cb21b3c2
完成映像(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=NKrdBq8plZc
主題歌フル(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=GSAZKbIxizc